2012年12月28日金曜日

見学会、その後・・


10月に、森の道見学会を開催したときに、
地元、東鷹栖に住んでいる農家の方が、
うちの山も見に来てもいいぞ、と言ってくれたので、
11月17日にまず一人目の方の山に行きました。

4.4ヘクタール(約14000坪)のカラマツ林。
植えてから40年くらい、10年くらい前に間伐をしたようです。
でも、既にだいぶ木が成長し、混み合って来ていて、
もう間伐が必要な感じです。

「全く山に来てなかったし、あまり手入れも考えてなかった」
ということでしたが、久しぶりに来て見ると、
やっぱり手入れしたくなったみたいです。



こちらは植えたカラマツと同じくらい天然のシラカバが生えて、
非常に混み合って、木がひょろひょろです。
近いうちに間伐しておいたほうが、
将来、立派な森になっていきそうです。

山を見ながら、何かを考えてたたずむGさん。
(爺さんじゃないです・・)




Gさんは、この山を地元の知り合いから
10数年前に買ったとのこと。しかし、山へのアクセスが、
田んぼのあぜ道(上写真)しかなく、大型トラックは
入れません。間伐材の運び出しと集積場所の確保が
難しい状況です。

「おれは自分では山仕事はできん。誰か、地元の
人に頼めるといいんだが・・」
「そうですね。まずは道つけと間伐事業ができるか、
森林組合と相談しましょう。僕らもお手伝いができるかも
しれません。」
まずは条件整理、下調べ。実際に間伐ができるまでには、
いろいろ調整が必要です。でも、道の見学会が
きっかけになったのは嬉しいことです。

実際にこんな「森の相談」につながったのは数件ですが、
地元に住んでいる山主さんの絶対数が少ないので
しかたないことです。

あとは、個々の山主さんたちの体験談を、
地元のみなさんに共有してもらえるように、
ニュースづくり、地元に配布、また見学会、の繰り返しです。
山の手入れや薪づくり、森での遊びが、
くらしの中になじんで、楽しそうだったら、
「山を持つってのもいいもんだな」と思ってもらえると思うのです。

今は、「山は金にならん」 以上、終わり。
地元の農家山主さんのリアルな心情だと思います。
確かにそうなのですが、実際に山とつきあってみると、
「少しは小遣いになる」「ちょっと楽しい」
という気持ちの変化が起きる気がします。
もちろん、全ての山主さんがそうなるわけではないのですが、
山主さん目線の「森の相談」、
そして夢を実現するツール、「森のプラン」と「森の道」によって、
山主さんの気持ちに火をつけることができそうです。



山を見せていただいたあと、お宅におじゃましました。
農家はリタイヤして、食べる分だけを作っています。
が、こだわっていることは、
「自分で作れる食べ物は、なるべく自分でつくる」この話で、1時間以上。
このこだわりは、どこかで山づくりにつながるかも?知れません。

奥さんは、自家製の豆腐づくり。
もちろん大豆も自家製。味噌も自家製。
豆腐は買ったことないそうです。
となりに住んでいる娘さん夫婦のところにも届けています。
うらやましい・・・ 
僕はおからをいただいてきました。とってもおいしかった・・・

大豆は遺伝子組み換えの表示が甘い、という話から、
政治の話まで。。。



今は、Gさんのくらしから山は遠いところにあって、
「持っているけど、ほったらかし、行ったことない」
状態でしたが、娘さん・婿さんが山菜とりが好きと
いうこともわかり、「歩ける森、楽しい森、立派な森」を
目指そうという方向性も見えてきました。

アクセスをどうするか、という課題はありますが、
検討の余地はあります。

次回は、もう一人の山主さんの
「森の相談」の様子をお伝えします。


2012年12月7日金曜日

山主さんご案内

道の見学会が終わって、山主さんたちを
森にご案内しました。
ずっとおばあちゃん(Gさん)を山に連れていきたかったのですが、
それがようやく実現しました。
「40年ぶりに山にきました、こんなに木が大きくなって・・」
亡くなったご主人との思い出もいろいろあるようで、
ときどき立ち止まっては感慨にふけっているようでした。

「ここでよくスイカを冷やしたんですよ。」
小さな沢を渡るために土や丸太でせきとめ、
小さな池をつくったのですが、
自然な感じに仕上げたのでよかったのかもしれません。





画面左に、今回作った池が見えます。
3人が立っているところは道がなく、もともと沢でした。


こちらは息子さん。
ホオノキの苗木をとっていかれました。
おばあちゃん(Gさん)がホオノキを好きだと
いうことで、間伐のとき気をつけて残しました。

Gさんののカラマツ林はもともとジャガイモ畑で、
昭和初期から30年くらい、でんぷん工場も経営していたそうです。
畑から出た大量の石を積み上げたものも残っていました。
それを道づくりで壊さないように、配慮しました。

ちょっと、住宅リフォームのビフォーアフター番組みたいですが、
思い出のものを残すのも大事だなと思いました。
しかし、今回はまれなケースかもしれません。

息子さんは、以前テレビで見たという、広葉樹をたくさん残す
カナダの森づくりと、今回の間伐の方針が同じだったことに
驚いておられ、また道づくりも「これは他の道とは違う」と
こちらが驚くほどおばあちゃんに力説されていました。

何かが伝わったかも、と思った瞬間でした。



左は隣接する山の所有者のKさん。
Kさんは建設関係のお仕事ですが、
薪を自分で運び出している方です。
道の仕上がりは喜んでいただいたのですが、
道の出口がGさんの土地を通るので、やっぱり気を使うようです。
木を運ぶときにはどうしても道にあとがつくので、
メンテナンスが必要な場合もあるからです。
簡単な申し合わせをしましょう、となりました。

自分の山だから自由に・・
そうできればいいのですが、沢にはさまれて
アクセスが限られているので、道はみんなのもの、
というルールがどこかで必要になります。

それぞれが道をつけると、きゅうくつで無理な











道づくりになってしまい、山も壊れてしまいます。

下の写真は、Gさんのトドマツ林、6月のようすです。
足元には、次世代のトドマツがびっしり。
自然に種がおちてこうなりました。
その上には、背丈以上に伸びたたくさんの広葉樹。
もちろん自然に生えたものです。
今後も、木を植える必要が全くないくらい、びっしりと生えています。
林業では「天然更新」と呼んでいます。
自然力を最大限に活かして、森を再生しながら木材も得る。
今後この苗木たちは、光の奪い合いの競争をしながら
負けたものはどんどん枯れていきます。
50年後まで生き残るのは100分の一以下。

これを見て、山主さんたちは大変驚いていました。
これらを育てていろんな木が交じり合った豊かな森、
いろんなものが収穫できて、台風や虫の害などにも強い森づくりが
可能になっていきます。
それには、ときどき(毎年~数年に1度)見回りも必要です。
ときどき森の恵みを収穫し、ついでに見回りもできる。







 下は、ある伐採現場。「天然更新」はマニュアルがなく、
扱いに難しさがあります。そこでいきおい、伐採単価が
一番安い「皆伐」、40年程度で森林の時間をリセットし、
また苗木を植える、というやり方があります。
(よく見ると苗木が植わっています)
一時的に山主さんにお金は入りますが、夢も一緒にリセットされてしまう。
もっと木を太く育てれば長期的に収益も見込める(可能性がある)。
ある程度、産業振興も必要なので、仕方ないのですが、
森林のプロなら40~50年ごとにリセットする方法と、
100年、200年と、森を大きく豊かに育てながら
少しずつ伐採する方法を、山主さんに選択肢として
説明できなければならないと思うのです。





50年、100年先に、木材のマーケットがどうなっているか、
予測はできないので太い木を育てる必要があるか
分からないのですが・・・


それでも、太い木がたくさんあり、育った分だけ伐れば、
永久に収入が続くことになります。
もちろん植える必要は、少なくとも今回の現場ではほとんど必要ない。
山菜や木の実、キノコやほだ木、薪や建築材、
いつでも取りに行くこともできます。そんな森づくりもあるのです。

また、そんな森の話もご紹介したいと思います。








2012年11月27日火曜日

間伐作業


 

9月、間伐現場に山主さんが来てくれました。
(白いヘルメットの方)
ご自分で薪材を運び出している方なので、
間伐の方針にも関心があります。
残す木の周りを伐って、光をあてる・・
「伐り過ぎないかい?」何度か説明し、
やっと納得していただきました。
「このシラカバは自然に生えてきたの?」
そうなんです。
植えたカラマツと一緒に成長してきたんですね。
カラマツと同じくらいの大きさになっています。
実は、原木の売り上げも、カラマツとあまり変わりません。
でも、なかなか理解してもらえません。
自然に生えた広葉樹は、
あまり価値のないものと思われています。



道の上にカラマツを引っ張り出し、
チェンソーでカットします。
製材用は3.65m、パルプ用は2.4m。
今回はその2種類です。
工場の受け入れ規格を確認しておかないといけません。
道にむかって木を切り倒しておいて、
機械でつかんで出す、
道から遠くてつかめない木はワイヤーを引っ張っていき、
引き寄せる。実生の広葉樹を傷つけないように・・・・



















引き出してカットした木を林内作業車に載せます。
ひたすら切って運ぶくり返しです。

















載せた丸太を、大型トラックが入れる林道まで
運び出します。

丸太の積み上げには、農家トラクターにつけた
「グラップル」(丸太つかみ装置)が活躍します。
運材トラックに載せるには、丸太を
ある程度そろえておく必要があります。

実はYさんから借りていた青いフォードのトラクターを
返さなければならなくなり、古いインターのトラクターを
使うことになりました。
古いけど、しっかり働いてくれます。
農家のみなさんはどう感じるでしょうか・・・


教育大岩見沢校の4年生がインターンで間伐現場を
10日間手伝ってくれました。

それと、昨年、もりねっとで林業実習を担当した
2年生も、別の実習の合間に間伐現場を
見学しに来てくれました。


とにかく誰でも気軽に山に来られる。
それが森の道のいいところです。
きれいに木を運び出して、山主さんは
どんな感想を持つのか・・・・
とても気になります。

続きは次回に。

森の道、その後・・

9月2日から10月11日までで、
森の道での間伐・搬出作業が終わりました。
間伐木はじめ、実生の広葉樹も傷つけないように
気を使って搬出したので時間がかかりました。
各地の林業作業員の人たちが休日に手伝ってくれました。

10月14日には「森の道、見学相談会」を
開催して、地元中心に20名の方が来てくれました。

11月1日には、山主さん達を道に案内しました。
とても喜んでいただいたのと、今後の道のメンテナンス
について話題になりました。

道づくりや間伐の最中には、林業関係者の方々が
100名以上視察に訪れました。多くの方に、
北海道民有林初の森林作業道の意義について
伝えることができました。
中川町役場からは、中川町有林の道づくりや手入れの
プランづくり・事業実施のお話をいただきました。
このプロジェクトの成果が他地域に波及していきます。

今は、見学相談会に来ていただいた地元の山主さん2名の
山を見に行って、プランを提案する準備作業をしています。

東鷹栖の道づくり・森づくりの現場が、
いろいろな人たちに見てもらえ、
山主さんにも喜んでもらえたのですが、
まだまだ多くの方には体験してもらえていません。
手入れを待っている森もたくさんあります。

今後、更に道づくり・間伐の事業を中心に広げるのか、
どうするのか事務局で話し合いました。
森に道をつくり、手入れや遊び、いろんな可能性が
広がることは分かってきた。
今後はより多くの人たちにそれを体験してもらうことが
必要では?
まずは、山を持っている人たち向けに、
手入れのイロハから道づくりまでトータルに
体験してもらい、ある程度自分でも作業ができるように
なってもらえる仕組みとして、「森塾」を開講しよう、
となりました。今年道づくりした現場を使ってもいいよ、
と山主さんに言っていただきました。

その中で、「森の相談」につながれば、間伐や道づくりの
事業も検討する。事業となれば、その現場で「森塾」を
開講することも可能になるかもしれない。
人と森が循環していきます。

また、森塾に参加できる人数が限られるため、
定期開催とすること、
開催のようすを、新聞や折込ニュース、ホームページや
フォーラム開催などいろいろな形で広報していくことを
考えました。

一番伝えたいのは、森づくり初心者だった人たちが、
自分で何かをできるようになって、変わったこと、
その思いを、第3者に伝えること。
それを継続していきたい、と思いました。

今まで林業はプロの仕事、素人には無理、
とあきらめていた人がほとんどだったと思います。
確かに木を選んだり倒したりするのには経験もいりますが、
きれいに手入れできたときの喜びは格別です。
夢も広がるしそれなりの収入になることもあります。
もしそんな仲間がいれば話もはずむし、
手伝いあったりすることもできるかもしれません。

そんなことを考えています。


あらためて、間伐や見学会、その後のようすを、
写真でお伝えします。














2012年8月13日月曜日

森の道、ゴールへ


旭川市、東鷹栖での道づくり、ようやくゴールが見えてきました。
山の中にどういう線形で道をつくるか?
僕らが出しつつある答えはゆったりしたライン、
ゆるやかにアップダウンして排水できるうねり、
3~3.5mの道幅。
結果的に、見た目に美しいのがいい気がします。
できあがったら簡単そうだけど、
傾斜がゆるいと逆に苦労することも。
工程はブログではうまく伝えられません。
今度、動画にナレーションをつけてみます。

道づくりの先生、田邊由喜男さんいわく、
「北海道バージョンを作りいや」
第一段階はこんな感じかな?

使いやすく、山を壊さず、雨に強い。
これから間伐作業をするので、
その中でまたいろいろ問題も見えてくるでしょう。

ずっと課題だった、「どうやって広めるか?」にも、
少しずつ自分たちなりの答えがつかめそうです。
いまは発展途上でも、初級レベルからの研修会を開催し、
毎年研修・交流会を実施してレベルアップしていく。

林業の現場作業をしている人たちに来てもらい、研修をしてもらう。
その人たちを雇用している会社や森林組合、
市町村役場や振興局の人たちに働きかけて、
モデル事業をやってもらう・・・

まずは、やる気のある町村からはじまっていくのでしょう。
実はそんなつながりも出来てきそうなのですが、
正式に決まったらまたご報告します。



道づくりで切った木を運んで、仕分けします。
大型トラックの走れる林道わきに丸太積み上げスペース
「土場」(どば)があります。

丸太は、品質や樹種により、運ぶ工場が違うので。
普通はここにユンボ(パワーショベル)に
丸太をつかむツメをとりつけた機械が必要ですが、
アマチュア林業の機械で対応。
左が林内作業車「やまびこ」
右が農家から借りたトラクターに、
丸太をつかむ「グラップル」つきクレーンをつけたもの。


よく見ると、自然に芽生えたほんとうに
小さな幼樹がびっしりあります。
そう、上手に木を切れば、木を植えないで
林業をできる場所はいっぱいあるのです。
「天然更新」ともいいます。
「更新」は、森を再生させること。
木を植えることも(人工的な)更新だし、
勝手に生えるように
ササをはぎとったりすることも「更新」。
ちゃんと見守りながら、
間伐してほっておくのも「更新」。

きめこまかな手入れが可能になるのも、
「森の道」があってこそ。
「ここなら植えないで林業できると思うので、
やっていいですか?」と
山主さんに現場で相談できる。
森の地面を機械で踏み荒らさないで
間伐や丸太の搬出ができる。
「天然更新」がうまくいっているか、
見回りも簡単。

「天然更新」は、
モニタリングと評価、計画の再検討が
とっても大事なのです。
森の管理も「PDCAサイクル」が大事なのです。
そんな当たり前のことも、
「森と里つなぎPJ」で提言していけるのでは
ないか、と思っています。

温暖・多雨の日本では、
森林が比較的簡単に再生します。
木を植えることは森の再生の「最後の手段」。
できれば多額の補助金に頼らず
自然の力を活かしたいもの。
ポイントは、森を「上手に伐る」ことです。
森の状態をきめ細かく見守ること、
山主さんにきめ細かく伝えること、
それができる人を育てることに、
(欧米のように)税金をもっと使うべきでは?
と思います。





陶芸家から「カラマツの薪がほしい」
という要望がありました。
高級薪ストーブ用にはあまり喜ばれない
カラマツも、陶芸用や、ボイラー用には
よい燃料になります。
森の中まで、軽トラで来てくれるようです。
うまく積み込みができたら、
コスト計算もできます。
大げさに言うと、「新しい流通」です。
製紙会社にパルプとして売っていた、
原価割れの曲がり丸太が、
なんとかやっていける
値段で買ってもらえれば、林業にも
少し希望がでて来るかもしれません。

この現場でいろんなチャレンジをしてみます。
いま、地元の農村向けに、
「森の道見学会」を準備中です。
山主さんにも森を見てもらって、
森の管理プランを提案するつもりです。

経過はまたご報告します。




2012年7月13日金曜日

森の道にお客さん

今日は、背広姿のみなさんが、
「森の道」開設現場に。
北海道の林政トップの林務局長さんや、
森林計画課、振興局の課長さんなど。

















もりねっとは、「森の道」と呼んでいますが、
林業界では「森林作業道」と呼ばれています。
昨年から本格的に国の補助事業として
進められています。

ポイントは、恒久的に林業などの作業に使える、
砂利を敷かない、土を積んで作った道、
ということです。

ふつう、みなさんがイメージする森の中の道、
というと、「林道」が思い浮かぶと思います。
これは、砂利が敷いてあり、大型トラックも
走行する道です。

「森林作業道」(=森の道)は、
基本的に土を積んでつくります。
砂利も使いません。
簡易だけど、雨で壊れず、
何十年も使える、という道です。

日本の「作業道」の草分け、田邊由喜男さんに
何度か指導していただいて、なんとか
僕らなりに分かる範囲で、作り方のポイントを
お伝えしました。

現場を局長さんに見ていただいたことは、
来年以降の道づくりに、なんらかの推進力に
なるのでは、と思います。
今後も、働きかけをしていきたいと思います。

北海道では、これまで国有林が作業道開設に
力を入れてきていますが、民有林ではまだまだのようで、
考え方が伝わっていない、と感じました。
北海道にもモデルが普及するように、
政策を考えてください、とお願いしました。

大型トラックで入れる林道、
その先に毛細血管のように森をめぐる道、
それらが、うまくバランスがとれれば、
いつでも森に入れ、森を壊さず手入れができる、
そんな風になればいい。

ではどのくらいのバランスか?
どんな作業・機械システムか?
手入れの仕方や、将来の森の姿は?
木材の販売先や用途は?
そこが、これからの議論だと思います。

それから、昨日は、別のお客さんが
雨の降る現場に訪れました。

















シラカバの皮をとりに、工芸家の方が。
以前から、樹皮がほしいとお聞きしていたので、
倒してすぐに連絡。道をつくるのに、
どうしても切らなくてはならない木でした。
この樹皮から、素敵なクラフトが生まれるそうです。

山主さんに、森の道ができた記念のプレゼントも
いいかも??
森を手入れして、お金の精算で終わり、でなく、
夢をつなげることもあったらいい。
ほんとうは、森を持っているって素敵なこと。
そんな風に思ってもらえたら。

いま、計画の1000mの半分まで開設しました。
またご報告します。





2012年7月4日水曜日

道づくりの準備

昨年、道づくり研修会で、
日本の「森の道」草分け
田邊由喜男さんに開設していただいた道と、
その延長をもりねっとでつけた部分の
雪がとけたので、状況を見て来ました。

今年の道づくり事業の詳細について、
振興局の方に現場を見ていただいて
査定や測量などの
アドバイスをもらうのもかねて。

















現在、国が進めている林業の機械化の
ために、トラックの通れる「林業専用道」、
林内にはいって木材を搬出する「森林作業道」
を面的に広げていこうとしています。

まだ北海道にはほとんど
「森林作業道」のモデルがありません。
どうやら、もりねっとが先例をつくろうと
しているようです。

国で森林作業道の補助金を出しているのですが、
北海道の単価は本州にくらべ非常に低い。

なぜ???

北海道は、ブルドーザーで押しただけの道が
普及しているから。
田邊さんのような長く使えるていねいな道作りとは、
根本的に違うのです。
しかし、今年の作業は、このブルドーザーの単価で
やらなければなりません。

行政の担当の方も、
いろいろ調べてくれ、
なんとか大赤字にならず着手できそうな
ところまでこぎつけました。

開設中の現場も見ていただいて、
今後、道づくりの単価をどうしたらいいのか
説明根拠を作っていきましょう、
ということに。

試行錯誤が続きます。
また報告します。

森の相談と、プランづくり

陣内です。
今回は、「森の相談と、プランづくり」です。

雪がとけ残る旭川市東鷹栖。
この夏、2000mの道づくりと、間伐を予定している現場です。
昨年も夏と冬に現場を見ていますが・・・
残雪のときにしか分からないこと、
それは地形と水の状態です。
夏は胸まであるササに覆われ、よく分かりません。
今は、水のあるところだけ先に雪がとけて、
非常によく分かるようになります。
でも、この状態は1年のうち2~3週間というピンポイント。貴重です。
水のあるところには基本的に道をつけません。





































この30ヘクタールの森は、5人の方が所有しています。
森の地面は微妙な傾斜の違いから、
水気が多かったり乾いていたりしています。
数10メートルずれただけで生えている木の種類が変わっています。
たいていはカラマツやトドマツが植えられているのですが、
水気の多いところ(谷地、ヤチといいます)はカラマツの成長が悪く、
ヤチダモやハルニレ、オニグルミなどの林になっています。
こういうところでの、過度な伐採は森が再生しにくいので、
積極的な林業はできません。

反対に、乾いたなだらかな尾根ではカラマツも大きく立派に育っています。
広葉樹では、ミズナラやハリギリ、イタヤカエデも元気です。
生産性が高く、間伐後の再生も旺盛と思われます。

考えてみると、開拓時代にたまたま割り当てられた土地で、
水気が多かったら、林業の収益は期待できない。
しかも、その人の森は、水辺の大切な環境を守り、下流のみんなの
ためになっているのです。
ヤチダモが大きく育つには、カラマツの倍の時間がかかります。
その分、高く売れますが、100年以上待ってください、
というのが現実的な提案なのか迷います。

















もし100年待てば、立派に育った木を少しずつ切って、
森の再生力をこえないように林業をすることは可能かもしれません。
本来林業は、「元本」をとっておいて、「利子」の一部を
分けていただくものだと思うのです。

昔住んだ山をもう一度見たいという山主さんもいました。
いい道をつけて、車で連れて行ってあげたい。
その上で、森の将来のプランを説明したいと思っています。
プランづくりは、林業試験場、北大などにアドバイスを
もらいながらやる予定です。
またご報告します。

道づくりの準備

「道づくりの準備」について書きます。
昨年は東旭川の山主さんの森、
1.6haに400mの道づくりをしました。
(写真は、道とカラマツ材の搬出のようす)


今年は、東鷹栖の30ha(9万坪)に、
約2000mの道づくりを準備しています。
30haは5人の山主さんが所有しています。

山の地形にあわせて、
無理のない、使いやすい道をつけたい。
大雨でも壊れず、歩いても楽しい道にしたい。
だから、山主さんみんなに声をかけて、
手入れの了承をもらってから道の線形を考えます。

昨年から森林組合の人と山主さんに説明したり、
山を歩いたりして準備をしています。
あとは、道づくり名人、田邊さんの技術を
どう現場に展開していくか。
そして、込み合った林をどう手入れして、
赤字にならないようにうまく搬出するか。
そして、手入れしたあとの林が
元気に育っていくようにできるか。

カギは、重機のオペレーターです。
昨年は、8名のオペレーターの方々が
名人、田邊さんの研修を受けました。
でも田邊さんのレベルになるには、
素質と、何年もの修行が必要だとわかりました。
今年も、昨年のような研修を考えていたのですが、
田邊さんからは、数日の研修ではダメ、と言われました。
ほんとうの技術の普及につなげるには、
マンツーマン指導、だそうです。

(3月、滋賀県の現場にて)

















実は、田邊さん、本州各地に路網のモデルを作っています。
滋賀、京都、山梨、長野、岩手、岐阜・・・
大きな現場で、道づくりから、木の搬出までやって、
そのあとの間伐をどうやったらきれいに効率よくできるか、
一目瞭然、という状態まで仕上げていくそうです。
まさに山のモデル。
田邊さんは、山全体のモデルを見せたいのです。
しかし、それをお願いするには予算が足りない。

昨年の道づくり研修に、国有林の方も来られていました。
最近お会いすることがあり、
実は、国有林でも田邊さんの研修を考えている、とのこと。
乗りかかった船、
もりねっとは国有林のお手伝いをすることにしました。
田邊さんのモデルが北海道にできることが、
まずは大事と考えたからです。

(国有林の現場調査に同行)






















田邊さんの考え方を、分かる限りお伝えしました。
国有林の方といっしょに、現場も見に行きました。
まだ調整しなければならないことがたくさんあります。
有意義な研修になることを願っています。

いま、昨年田邊さんの研修を受けたAさんが、
田邊さんのもとで修行中です。
短い期間ではありますが、マンツーマン指導です。
厳しく指導され、多くの経験をさせてもらっているようです。
今年、Aさんともりねっとが、いっしょに道づくりをやる予定です。
どこまでできるか、未知数ですが、がんばります。
山主さんへの説明や、現場調査、機械の準備、
やることはたくさんあります。
期待と不安がまじります。
また報告します。

2012年7月3日火曜日

森と里つなぎプロジェクト

2011年の5月から、秋山財団の助成をいただき、
「森と里つなぎプロジェクト」に取り組んできました。
昨年から1年間取り組んできたまとめを、
数回にわけてご報告します。
今回は、「プロジェクトへの思い」です。(ちょっと長いです)

●どうして、「森と里つなぎ」なの?
このプロジェクトでは、「森の道」づくりの技術開発や人材育成、
小型の機材などを使った、アマチュア林業の支援(自伐支援)、
薪などのほか、木工で使用する小ロット・多樹種の木材供給(資源循環)、
山主や都市住民のさまざまな思いをプランにする「森の相談」を
つなぎ合わせながら進める計画です。

いま、日本の林業をたてなおすために、
細切れに所有されている森をまとめて集約化し、
そこに大型機械を入れて間伐をして、コストを下げ、
木材をたくさん出して、自給率もあげよう、
という目標がたてられました。
林野庁の「森林林業再生プラン」です。

でも、もりねっとはそこに抜けているものがあると感じています。
効率化した機械でどんどん手入れは進む。
でも、山主さんたちは、契約のハンコを押すだけにならないか?
数年前から、農村の聞き取り調査をしてきましたが、
「自分で手入れしたい」
「何かしたいけど、どうしたらいいか分からない」
「手入れして薪に使いたい」
「自然豊かな森に再生したい」
こんな声をたくさん聞きました。
こんな声に、林業界はちゃんとこたえてきたのだろうか?
きめ細かいアドバイスをしてきたのだろうか?
「素人には無理」と決めつけていなかっただろうか?

実は、こういうことに応えていくと、
様々な森と人との関係ができて、
農村、山村のくらしがゆたかになったり、


コミュニティビジネスに発展したりするかも知れません。

森は、そんな可能性を秘めているのです。



●「森の道」づくり
そして、山主さんが森に行きたい、
どうなっているのか見たい、何かしたい、
そういうとき、「森の道」があるといい。
立ち木をよけながら、ゆったりと山をめぐる、
森にも人にもやさしい道です。

これには、実は高度な技を駆使しているのです。
削りっぱなし、大雨で崩れる道とは違います。
道づくりの名人、田邊由喜男さんの指導を受けながら、
北海道にあった道づくりを目指しています。

(2011年6月の研修会のようす)

















●「自伐支援」と、「資源循環」
森に入れるようになると、
いままで眠っていた山主さんの思いが、
むくむくとわいてきます。
(これまで何度かそういうことがありました)

「薪を出そう」
「丸太を切り出して、小屋づくりに使えないかな?」
「ほだ木をとろう」
「山菜をとろう」
「焼肉しよう」

焼肉はすぐに実行できるのですが、
重たくてかさばる木材を運び出すのは大変です。
でも、農家にはトラクターがある。
実は、ヨーロッパなどでは、農家のお父さんが、
トラクターを駆使して林業をやっています。
そこで、ヨーロッパの機械をテストしよう、
いろんな角度から、「自分でやる林業」をテストしてみよう、
そして、安全に、効率よく、楽しく作業できる条件は何か、
農家の人たちに提案したい。
そう思いました。

(写真はトラクターにつけた、丸太の積み込み用アタッチメント、
オーストリアから輸入したもののテストを行っています)




さらに、自分で使う薪を出すのもいいけど、

地元のみんなで集めてきた原木を、
みんなで薪にすることができたら、
農閑期の仕事にならないか?
そんなことも可能になればいいと思い、
まずは自分たちで実験して、
データをとることにしました。
ここでもきっと、森の道、トラクター、
農家のトラックが活躍すると思っています。

実は、ヨーロッパ各地では今でも薪が健在で、
薪づくりが農家の副収入になったり、
燃料用のチップも農村のビジネスになっていたりします。
森を育てながら、田舎が美しく、豊かになれば、
ほんとうに素敵だと思います。

●プロジェクトのネットワーク
もちろん、もりねっとだけでは、
このプロジェクト実行は不可能です。
森の道技術では田邊由喜男さん、
森の手入れ技術では道立林業試験場や北大、
山主さんとの話し合いでは旭川市森林組合や、
地元農家の世話役の方々、
フィールドを提供してくださる山主さんたち、
木工家との広葉樹材利用では、旭川市工芸センター、
木質バイオマス利用では、森のエネルギー研究所、
その他たくさんの方々といっしょに、
プロジェクトを進めていきます。

ひとつひとつの断片が、モデルになるためには時間がかかります。
しばらくは全体像が見えにくいかもしれません。
プロジェクトの形が少しずつ変わっていくかもしれません。
でも、地域にとって最適は何か?を、探っていきます。