2012年12月7日金曜日

山主さんご案内

道の見学会が終わって、山主さんたちを
森にご案内しました。
ずっとおばあちゃん(Gさん)を山に連れていきたかったのですが、
それがようやく実現しました。
「40年ぶりに山にきました、こんなに木が大きくなって・・」
亡くなったご主人との思い出もいろいろあるようで、
ときどき立ち止まっては感慨にふけっているようでした。

「ここでよくスイカを冷やしたんですよ。」
小さな沢を渡るために土や丸太でせきとめ、
小さな池をつくったのですが、
自然な感じに仕上げたのでよかったのかもしれません。





画面左に、今回作った池が見えます。
3人が立っているところは道がなく、もともと沢でした。


こちらは息子さん。
ホオノキの苗木をとっていかれました。
おばあちゃん(Gさん)がホオノキを好きだと
いうことで、間伐のとき気をつけて残しました。

Gさんののカラマツ林はもともとジャガイモ畑で、
昭和初期から30年くらい、でんぷん工場も経営していたそうです。
畑から出た大量の石を積み上げたものも残っていました。
それを道づくりで壊さないように、配慮しました。

ちょっと、住宅リフォームのビフォーアフター番組みたいですが、
思い出のものを残すのも大事だなと思いました。
しかし、今回はまれなケースかもしれません。

息子さんは、以前テレビで見たという、広葉樹をたくさん残す
カナダの森づくりと、今回の間伐の方針が同じだったことに
驚いておられ、また道づくりも「これは他の道とは違う」と
こちらが驚くほどおばあちゃんに力説されていました。

何かが伝わったかも、と思った瞬間でした。



左は隣接する山の所有者のKさん。
Kさんは建設関係のお仕事ですが、
薪を自分で運び出している方です。
道の仕上がりは喜んでいただいたのですが、
道の出口がGさんの土地を通るので、やっぱり気を使うようです。
木を運ぶときにはどうしても道にあとがつくので、
メンテナンスが必要な場合もあるからです。
簡単な申し合わせをしましょう、となりました。

自分の山だから自由に・・
そうできればいいのですが、沢にはさまれて
アクセスが限られているので、道はみんなのもの、
というルールがどこかで必要になります。

それぞれが道をつけると、きゅうくつで無理な











道づくりになってしまい、山も壊れてしまいます。

下の写真は、Gさんのトドマツ林、6月のようすです。
足元には、次世代のトドマツがびっしり。
自然に種がおちてこうなりました。
その上には、背丈以上に伸びたたくさんの広葉樹。
もちろん自然に生えたものです。
今後も、木を植える必要が全くないくらい、びっしりと生えています。
林業では「天然更新」と呼んでいます。
自然力を最大限に活かして、森を再生しながら木材も得る。
今後この苗木たちは、光の奪い合いの競争をしながら
負けたものはどんどん枯れていきます。
50年後まで生き残るのは100分の一以下。

これを見て、山主さんたちは大変驚いていました。
これらを育てていろんな木が交じり合った豊かな森、
いろんなものが収穫できて、台風や虫の害などにも強い森づくりが
可能になっていきます。
それには、ときどき(毎年~数年に1度)見回りも必要です。
ときどき森の恵みを収穫し、ついでに見回りもできる。







 下は、ある伐採現場。「天然更新」はマニュアルがなく、
扱いに難しさがあります。そこでいきおい、伐採単価が
一番安い「皆伐」、40年程度で森林の時間をリセットし、
また苗木を植える、というやり方があります。
(よく見ると苗木が植わっています)
一時的に山主さんにお金は入りますが、夢も一緒にリセットされてしまう。
もっと木を太く育てれば長期的に収益も見込める(可能性がある)。
ある程度、産業振興も必要なので、仕方ないのですが、
森林のプロなら40~50年ごとにリセットする方法と、
100年、200年と、森を大きく豊かに育てながら
少しずつ伐採する方法を、山主さんに選択肢として
説明できなければならないと思うのです。





50年、100年先に、木材のマーケットがどうなっているか、
予測はできないので太い木を育てる必要があるか
分からないのですが・・・


それでも、太い木がたくさんあり、育った分だけ伐れば、
永久に収入が続くことになります。
もちろん植える必要は、少なくとも今回の現場ではほとんど必要ない。
山菜や木の実、キノコやほだ木、薪や建築材、
いつでも取りに行くこともできます。そんな森づくりもあるのです。

また、そんな森の話もご紹介したいと思います。








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